2015年12月27日日曜日

一年を振り返って

 ここ数ヶ月、パソコンを開くたびにWindows10へのバージョンアップを促すメッセージに曝され、ずっと無視していたのですが、たまたま気分的に解放されることがあり、時間的ゆとりもあったことから、ついバージョンアップに乗ってしまいました。その結果は使い勝手がそれまでのWindows7とかなり様変わりし、慣れるのに一苦労しましたが、それ以上に困ったのはフリージングが再々起きるようになったこと、それとブログがそれまでのURLで投稿できなくなってしまったことです。パソコンは使えば使うほどバグが蓄積され、いろいろなトラブルの原因になりますが、そうしたバグがバージョンアップの際に、そうした不具合の引き金になったものと推察されます。マイクロソフトとしては少しでも多くの人にWindows10を利用してもらい、その健全性確保に利用したいのでしょうが、個人的にはバージョンアップは完全に失敗だったと反省しています。しかしWindows7に戻しても不具合が消えるわけでもなく、新たなURL(従来のURLに1を追加http://blue-sea-aso1.blogspot.jp/)で、また最初からブログを書き始めたいと考えていますので、よろしくお願い致します。

 今年もあと数日で終わります。年々一年の経過が非常に短く感じられますが、「エコの環」は引き続き京都府のソーシャル・ビジネスプログラムの支援を受け、生ごみ処理量の増大(=野菜生産量の増大)を図りながら、野菜販売額の拡大に努めました。お蔭で少しづつ販売額を伸ばしてきましたが、一方で肝心の野菜生産者が病、その他の理由で休養したり離脱したり、あるいは度重なる獣害にも遭ったりして、思わぬ苦戦を強いられることになりました。京都府との協同事業「ちーたび」は地産地消、生活習慣病対策としての料理教室、また、さつまいもの苗植え・収穫体験などを4回実施し、「エコの環」の周知に努めました。お蔭で少しづつではありますが、「エコの環」野菜への理解も深まりつつあるように感じています。

ところでへどろヒートポンプですが、実用化に向けて足踏み状態が続いていましたが、ここにきて関心を示す業者がやっと現れ、「養殖魚生けすの水温低下」をテーマに実験を始めることにしました。このテーマは海洋高校の先生からも頂いていて、魚の養殖では、夏になると生けすの水温が30℃近くになり、大量の魚が死んでしまうため、1℃でも水温が下げられれば、運転管理上かなり助かるのだそうです。この水温低下にへどろヒートポンプが使えないかということで、早速、峰山にある京都府織物・機械金属振興センターの装置をお借りして実験し、30℃、10ℓの水の温度を1kgのへどろを使って3℃下げるのに成功しました。次にこの吸湿へどろを太陽熱で乾燥できれば、へどろヒートポンプを2台用意し、へどろの吸湿・乾燥を交互に繰り返すことで、化石燃料を使うことなく生けすの水温を下げることができます。また、これが上手くいけば、真夏に高温となるビルの建屋、道路などの温度を下げることにも利用できます。何とか実用化させたいと考えています。
 
 それでは良い年をお迎えください。

2015年11月24日火曜日

老人介護(つづきのつづき)

 家内の母が亡くなりました。当地域では最高齢の享年105歳でした。本人の希望で葬儀は家族葬という形をとり、家で実施しました。
 おばあさんは非常に元気な人でしたが、少々肥満気味でよくコケ、それも原因してか90歳のころ腰を圧迫骨折し、それ以降は歩行が困難になりました。そして歩行器、杖などを使ってもっぱら家の中だけの生活になりました(老人介護)。それまでも家内は何かと手助けにおばあさん宅に通っていましたが、それ以降はますます目が離せなくなり、毎日通って掃除、洗濯、料理などの手助けをしていました。そして100歳のときに室内でまたコケ、左足付け根を骨折してほとんど歩けなくなってしまいました(要介護2)。そして唯一の楽しみはテレビだけとなり、一緒にいると頭がおかしくなるほどの大音響でテレビを見ていました。しかし身体機能は少しづつ衰え、最後は要介護5になり、そしてこの9月にベッドからの移動中にまたコケ、医者の勧めもあってとうとう可動式ベッドに寝たきりの生活になりました。それ以降は衰弱が目に見えて進行し、ついに11月に永眠しました。
 いま日本女性の平均寿命は86.6歳で世界第1位といわれます(2013年)。これは非常に素晴らしく誇れることではありますが、しかし健康寿命は74.2歳で、その間の12年余は日常生活が自由に送れず、人の助け(介護)が必要という実態を知ると、単純に平均寿命の世界一を喜んでばかりもおられません。おばあさんの場合はこの期間が4年8カ月ほどであり、平均からするとかなり短かったことになります。そしてボケることもなく、また、入浴以外はほとんど自分で着替えもでき、食事もでき、ポータブルトイレも使用できたことから、世間的にはほとんど世話のかからない方だったと言えるかもしれません。しかし家内のする世話を毎日横で見ていた私にすれば、介護生活はそうした見かけだけでは語れない、家族にとって肉体的にも精神的にも相当にハードなものであると感じます。まず、介護される側はもちろん、介護する方もほとんど自由がなくなります。そして自らの生活は大幅に犠牲にせざるを得なくなります。おばあさんの場合は認知症・医療といった面ではかなり救われましたが、しかし一歩間違っていたら、経済的にもかなり厳しい状況に追い込まれたかも知れません。特に最近、介護生活に疲れ、心中したり殺人したりのニュースをよくテレビで見かけますが、当事者の心中を察するととても他人事には思えず、同情を禁じえません。
 おばあさんは自宅での介護生活の間、介護施設の方々から本当に親切なアドバイス・サポートをしていただきました。また、病院のお医者さん、看護師さんたちからも、まさに昼夜を分かたず親身になった診察・処置をしていただきました。介護制度上の当然のサービスと言えばそうかもしれませんが、全く申し訳ないように感じることも再々あり、本当に恵まれていたと感謝しています。ただ、団塊の世代があと10年もすると後期高齢者の仲間入りをする現状を考えると、果たしてそのときこれだけのサービスが行いえるのか、日本の財政は大丈夫なのかと心配になります。改めて「ピンピンコロリ」で天命を全うしたいと願っているところです。

ぴんぴんころり地蔵

2015年11月11日水曜日

ちーたび(さつまいも掘り)

 ちーたび「さつまいもを掘って ヘルシー料理を作ろう!」を、10月最終日に実施しました。さつまいもは暖かい地方の作物であり、暖かいうちに取った方が良いと教えられ、気になっていたのですが何かと行事が重なり、結局、10/31(土)にずれ込んでしまいました。
 当日は大人5名、子供2名の参加を得て、まずさつまいも掘りに挑戦しました。最初に鎌、ハサミで大量の葉っぱを取り除きました。これはさつまいもの試し掘り(10/10)の経験によるものです。次に剣先スコップで畝の土を両側から掘り起こしました。これもその際にある人から教えられたことを試したもので、確かにいもは抜けやすく、キズが付きづらくなりました。さて本番のいもの引き抜きでは、誰かが大きないもの連なりを抜き出すと、本人はもちろん周りの人たちからも思わず歓声が上がり、それがみんなを次への期待に向かわせ、何か一体感のようなものが生まれてくるのが面白く感じられました。ツルに連なったいもは手で引き離すとやはりキズが付きやすいので、1個1個をハサミで切ってもらい、そのあとヒゲを取ってもらいました。これらも試し掘りをしたときの経験がものを言い、事前に行っておいて本当によかったと思いました。収穫したさつまいもは各自にビニール袋を渡し、いっぱいに詰めてお土産にしてもらいましたが、今回のさつまいも掘りで土に触れることは気持ちを和ませ、大人、子供いずれにとっても非常に大切であることを実感しました。
さつまいも掘りの後は公民館で、”すゞ菜”の女将の指導の下、さつまいも尽くしの料理、デザートを作りました。内容はのっぺい汁、コロッケ、サラダ、雑穀ごはん、スイートポテト(減糖)、いもんぶらん(ノンバター)などで、あまり調理に関心のない私にも魅力的に感じられる、アイディア満載のものばかりで、男性の参加者にも十分に楽しんでいただけたと思っています。特にのっぺい汁は前回の料理教室で学んだ食改レシピのだし汁を使って作ったのですが、少量の淡口しょうゆ、砂糖だけで具のうま味がよく出ていて、本当においしく感じられました。あるお母さんはお子さんが「家でだったら絶対に食べないと思われたのに、全部食べてくれた」と喜んでいました。なお、2人の子供さんは、いつも「子育てサロン」で小さい子供の相手をしている家内が世話をし、2人のお母さん方には調理に専念してもらいました。


 交流会ではまず私の方から、いまの日本人は食物繊維の摂取量が男女とも基準値を大きく下回り、5人に1人が便秘トラブルを抱えている。腸は健康の「かなめ」で、便秘は病気の原因になりやすい。排便を促すのに効果的なさつまいもをもっと普段の食生活に取り入れたり、ごはんには分付き米や雑穀など、食物繊維を増やす工夫をしてほしい。食物繊維には血糖値の急上昇を抑えたり、コレステロールを抑える働きもあるといったことをお話ししました。そのあとの意見交換では、「食事は命を頂くもの、できるだけ一物全体を頂き、農薬・添加物といった化学薬品は避けたい」、「糖尿病だったが”脱炭水化物”療法で回復した。野菜の良いことは分かるが続けるのが難しい。しかしいいだし汁で調味料を少なくする今日の料理は、野菜食を続ける参考になった」、「いい食品は高いといわれるが、食材にお金をかけるか医者にお金をかけるかの違い」、「調味料は高くても自然素材のものを考えたい」などの意見が出され、楽しい雰囲気のなか散会しました。

日本人の食物繊維摂取量の推移

2015年10月28日水曜日

アースガーデンみやづ2015

 京都府立の「海と星の見える丘公園」でアースガーデンみやづ2015が開かれました(10/24、25)。初日は汗ばむほどの陽気であったのが、翌日は一転、風がかなり吹き荒れ、気温も日なたボッコしたいほどの天候になりました。そんななか私たちは「エコの環」活動についての展示を行いました。ゲストに金子勝氏、藻谷浩介氏、金丸弘美氏などそうそうたる先生方をお招きしてのイベントでしたが、人出は非常に少なく、まして食品売り場の奥に設置された私たちの展示コーナーには、足を運んでくれる人はきわめて少なく、そんなことから多くの展示ブースでは説明者が席を離れて無人となり、ますます殺風景なコーナーになってしまいました。しかし私たちはせっかく足を運んでくれた人には説明をしたいし、「エコの環」野菜の販売も行っていたので、家内と私のどちらかは展示ブースに立ち、2日間でなんとか70~80人の人たちに説明をし、パンフレットを手渡しました。
食品売り場

 来てくれた人にはまずゼオライトを知っているか尋ねました。ほとんどは知らないというので、土壌微生物が棲みやすい粘土で生ごみを発酵分解させやすいことを、模型の処理箱を使って説明しました。そこまでは少し引き気味に話を聞いていた人も、次に処理箱を反転させて撹拌するところを見せると、それが面白いのかほとんどの人はそこで近寄ってきて箱を覗き込み、話を聞いてくれました。そして発酵肥料の現物を見せると、きれいに分解された肥料にみなビックリし、それを使って高齢者が安心・安全で栄養豊富な野菜を作り、地域で販売して利益を皆で分配していることを説明すると、大きく頷きながら「エコの環」を理解してくれました。次に阿蘇海を知っているか聞くと、7~8割は宮津市以外からの人たちで、多くが京都市や大阪などから来ておられたことから、ほとんどが熊本の阿蘇を連想されました。そこで阿蘇海は天橋立の内海であること、大量のへどろが堆積して泳げない、魚の取れない海になっていることを、「へどろのサンプル」を見せながら説明すると、みなさん一様に驚かれ、次にこのへどろからゼオライトとシリカゲルが合成でき、将来はへどろから作ったゼオライトで「エコの環」を回し、阿蘇海の浄化に役立てたいと話すと、非常に驚いて帰って行かれました。
私たちの展示ブース

 来場者が少なく拍子抜けのイベントで、却ってぐったり疲れてしまいましたが、しかし勇気づけてくれる人たちもいました。ある若いカップルは通り過ぎようとしていたのを呼び止めて説明したのですが、私の話にいちいち「ワー」とか「キャー」とか歓声を上げ、最後に「へどろってすごい資源じゃないですか。写真撮っていいですか」といって、展示物を何枚か写真に収めてくれました。また、大阪から来たという男性も私の説明に大きく頷き、バチバチ写真を撮りながら熱心に話を聞いてくれました。
 外人の男性もやってきました。日本語が分かるか聞くと「English only」というので、英語で説明することになりましたが、途中、「土壌微生物」、「発酵」、「へどろ」といった英単語が分からず、むちゃくちゃの英語で説明しましたが、「コンポスト(堆肥)! I got it(分かった)」と笑いながら帰って行きました。スペイン人の女性もやってきました。こちらは通訳がいたので日本語で説明しましたが、しかし通訳も前述の単語などは説明しづらいようなので、こちらも英語と日本語をごちゃ混ぜにして説明しましたが、なんとか理解してくれたようで、大きく頷きニッコリ笑って帰っていきました。



2015年10月18日日曜日

干し柿づくり

 毎年いま頃になると、家内たちは「干し柿」づくりにチャレンジします。「エコの環」野菜と一緒に持っていくと、結構喜んで買ってもらえるからです。しかし天候によるのかカビを生えさせることがよくあり、なかなか干し柿づくりといっても難しいようです。あるとき近所で干し柿をよく作っている人にカビの防ぎ方を聞いたところ、イオウを燃やしていぶすということでした。いってみれば殺菌・抗菌の力でカビを防ぐわけです。家内たちにそんな真似はとてもできず、これまでカビが生えれば捨てていたようですが、市販のものにはそうした処理をしたものが多いのだろうかと思うと、なにかゾッとします。今年の干し柿はいまのところ順調に出来上がっているようで、なんとかこのまま行ってくれることを願っています。
 家内と一緒に干し柿づくりをしている奥さんから、「柿の木の高いところに残ったカキを取ってもらえないだろうか」と頼まれ、先日カキ取りに初挑戦しました。カキ取りのために竹の先を斜めにカットし、その真ん中に割れ目を入れて二股をつくることを教えられ、まず右上図のようなカキ採取装置を作りました。この二股でカキがぶら下がる小枝を挟んでひねると、カキの枝は脆いので簡単に折れ、折れた枝を二股に挟んだまま下におろすとカキが収穫できるのです。木に梯子をかけて少し高いところに登り、そこからカキのぶら下がる小枝をねらって二股で挟むのですが、挟み方が浅いと折角取ったカキの枝が外れやすく、下で待ち受ける奥さんに渡す前に落下させてしまい、かなりのカキを無駄にしました。しかし慣れると面白いように取れるようになり、つい夢中になって買い物かごイッパイになるまで取り、あとでそれを運び下すのが大仕事でした。
翌日、奥さんから皮をむいた大量のカキを渡され、家内と大急ぎでカキを2つづつ紐で結び、とりあえず脚立に竹の棒を固定してそこに干すことにしました。しかし最近は近くにクマが出たとの放送があったり、庭がときどき何物かに穴を掘って荒らされたりすることから、低い位置では食べられてしまうということになり、軒下に棒を渡してそこに移すことにしました。家内はいろいろ別の用で忙しいため、棒の固定からそこへのカキの移動は全部一人でやりましたが、まさか自分が干し柿づくりをすることになるとは思ってもいませんでした。しかしつるされたカキと窓・壁にできるその影は、なんとも言えない懐かしさを呼び起こし、あったかい気持ちにさせられました。

2015年10月10日土曜日

さつまいもの試し掘り

 この春(5/30)、ちーたびでさつまいもの苗を植えました。その時はへなへなであった苗が、いまでは葉っぱが畝間までゴワゴワと埋め尽くすまでに成長し、今月の末にそのいも掘り体験のちーたびを計画しています。しかし果たしてうまく育っているかが心配であり、また当日に掘ったいもはすぐに食べてもらえないことから、事前に少し収穫しておこうと数日前、家内と試し掘りを行いました。家内は一度さつまいもを育て、見事にモグラに食べられた経験を持ちますが、私は全くの初体験で、家内の所作をまねながら引き抜きにかかりました。しかし簡単にスポと抜けることがある反面、多くは茎だけが取れていもが土中に残ってしまうので、土を手で取り除いていもを探し当て、あとは周りの土を丁寧に除去して掘り出しました。というのは雑に扱うとキズがつきやすく、また途中で折れたりしたからです。さつまいもは思った以上にうまく育っていて、それがとても嬉しく、感謝しながら5~6mを掘りました。ただ、いもをチョット掘ると葉っぱが抱えきれないほどの量になり、しかも茎が非常に複雑に絡まって隣の畝まで伸びたりしているため、いもを掘るより茎や葉っぱを取り除く作業が大変でした。そんな中でも家内は「食べられる」といって「芋づる」もせっせと採っていて、「さすがに女だ」と感心させられました。
 掘ったいもをプラスティックのケースに並べていると、通りがかりの人が「上手に育っているやないですか」と次々に立ち止り、中には「いものヒゲは取ったほうがよい」と親切にヒゲ取りを手伝ってくれ、「天日で2~3日干しなさいよ」といってくれる人がいるかと思うと、「陰干ししなさい」と忠告してくれる人もいたりして、どちらなんだと思うこともありましたが、皆さんのおおよその意見はさつまいもは10月中ごろまでに掘った方が良い(10月末は少し遅すぎるようです)、長期保存する場合は干した後、一つ一つ新聞紙にくるんで段ボール箱に入れ、暖かいところに置いて保存しろというものでした。どうもさつまいもは暖かい所の産物なので寒いのが苦手なようです。またある人はいもを掘る前に畝の両サイドにスコップを立て、中央を持ち上げるように土を起こしておくと、茎を引っ張るだけで簡単に抜けると教えてくれましたが、どうせなら掘る前に教えてくれと思ったことでした。いろいろ皆さんと話していると、生ごみ堆肥で育てている私たちのさつまいもを、結構気にかけておられたようです。
 ちーたびは10月31日(土)、9:30~14:00に参加費;1,500円(京都ちーびず応援券使用可)、募集定員;8名、集合場所;岩滝口駅前で実施します。いも掘りを体験した後、地産地消の店”すゞ菜”の女将と一緒に、さつまいも料理、さつまいものお菓子などを作って、おいしくいただく予定です。ふるってご参加ください。

2015年10月3日土曜日

うれしい話

 先日、「ピンと活き生き宮津ライフ」の申込用紙を配布するため、あるお宅を訪問したとき、奥さんからうれしい話を聞きました。そこのご主人は私たちの生ごみたい肥(宮津方式)に関心を持たれ、5年ほど前からゼオライトを使ったたい肥作りを行い、野菜を作っておられるのですが、その野菜を食べるようになってから、奥さんの身体の調子が非常によくなったというのです。奥さんはかつてかなり太っておられ、血圧、血糖値、コレステロール値に問題を抱え、また、「橋本病」という甲状腺の病気にもなっていて、神戸の病院まで通っておられたそうです。しかしいまでは血糖値、悪玉コレステロールのLDL値・総コレステロール値が正常に戻り、体重も減り、甲状腺の病気も病院の先生から「数値が非常によくなっていますね」と言われたというのです。血圧はまだ薬を飲んでおられるそうですが、飲む量が減ったといいます。奥さんに言わせると「エコの環」野菜のほかにいま一つ思い当たるのが、ご主人が作ったニンニクで黒ニンニクというものを作り、食べていることだそうです。ご主人とはどちらの効果だろうと話しておられるそうですが、ただ奥さんはご主人の作る「エコの環」野菜は非常に甘く、普通の野菜とは何か違うと感じておられるそうです。そして最後に「とても良いたい肥作りを教えていただき、大変感謝しています」と言っていただきました。

 以前、ブログ紫外線の害でも触れましたが、私自身も「エコの環」野菜を食べるようになってから、身体によい意味での変化を感じており、前述の奥さんの話はうれしいだけでなく、非常に納得できる話のように感じました。あらゆる病気はミネラル不足に起因すると言われます。しかし最近の野菜はミネラル不足のものが多いだけでなく、私たちは料理を作るとき、食材の肝心の栄養素を切ったり削ったりして捨ててしまい、捨てられる生ごみの方に実は栄養分は詰まっているのです。だからそれを肥料にした「エコの環」野菜にミネラル分が豊富なのは理屈であり、「エコの環」野菜を食べることで、身体の調子が良くなるというのも理屈だと感じるからです。また、「エコの環」野菜は露地栽培しています。そうした野菜はハウスものに比較して厳しい環境を生き抜いてきており、フィトケミカルの多いことが考えられます。フィトケミカルには抗酸化作用があり、身体のサビ防止(老化防止)に効果のあることが知られ、ガン対策にもなるといわれます。また、野菜に多い食物繊維は、免疫機能を司る腸の環境を整えたり腸の栄養分となり、健康回復に有効なことが考えられます。今後も先ほどの奥さんのような話を聞き集め、できるだけ多くの人に「エコの環」野菜の良さを伝えていきたいと考えています。

2015年9月23日水曜日

シミュレーション

 阿蘇海のへどろにすばらしい吸湿/放湿特性があり、蒸気吸着式ヒートポンプ(水蒸気を利用する熱の汲出しポンプ)を作ることが可能なことは、これまでにもなんどか触れてきました。水を高温な場所に置くと蒸発して、1グラム当たり600カロリーという大きな熱を奪います。火に水をかけると鎮火するのは水がこの大きな熱を奪うからです。この水蒸気をへどろに吸着させ、その大きな熱を冷却水で回収することで、例えば太陽光にさらされ高温となった屋根の熱をお湯として回収し、同時に室内温度を下げようとするのが「へどろヒートポンプ」の考え方です。これまでに基礎的な実験はほぼ終了し、実用化の実験を進める段階にあるのですが費用がかさむため、なかなか実験に移れず悶々としていました。そんなとき府立海洋高校の生徒さんたちに講義をする機会があり、その折、学習の教材用にと思い切って装置を学校に預けることにしました。そして先生に使い方を理解していただくため、2度ほど実験を計画したのですが、1回目は装置に破損が見つかり、2回目は急に激しい雨に見舞われ実験ができず、やっと先日、3度目の正直で実験を行うことができました。しかしその日はあいにくの曇天で条件的には最悪でしたが、目的は実験方法を伝えることだったので、まずは実験をすることで何とか実験の要領を理解してもらうことができました。
 ところでパソコンのソフトにエクセルという計算用ソフトがあります。データをインプットするといろんな計算が簡単にでき、またそれをグラフにしたりできます。このエクセルには計算式(関数)などもインプットでき、複雑な計算式でも簡単に計算してグラフ化できます。右下の図は3次式をグラフにしたものです。
いまへどろヒートポンプの原理を考えたとき、その仕組みは極めて単純です。つまり水を入れた容器とへどろを入れた容器をパイプでつないだだけの構造で、装置内で起きる現象も蒸発、吸着、伝熱など限られています。そこでそれら反応式をエクセルにインプットして組み合わせることで、へどろヒートポンプで起きる現象を数値計算できないかチャレンジしてみました。各反応式には適当な係数をかけ、計算結果を微調整しながら実験結果に近づけていくのです。これをシミュレーション(数値模擬実験)といって、規模は違いますが地球温暖化などの予測にもこうした手法が取られます。下図は海洋高校で行った実験のシミュレーションの結果で、計算結果と実験結果は非常に良い一致を示しています。こうしたことをいろんな実験に対して行っていくと、装置はどのような形状がよいかとか、水の量、へどろの量はどれほどがよいかなどが予測できるようになり、海洋高校の生徒さんたちのよい教材になるのではと期待しています。

2015年9月10日木曜日

ぽっくりさん

 私の両親は老後によく夫婦そろって、1~2泊程度の旅行に出かけていました。そしてたまに親元(岐阜)に帰ると、「”ぽっくりさん”に行ってきた」といった話をよくしていました。当時は「ぽっくりさん」と聞いても「なに、ソレ?」くらいの感覚で、いい加減に話を聞いていたのですが、いま私たちが「”ピント活き生き”宮津ライフ」で主要テーマに取り上げている「ピンピンコロリ」、つまり人生の終末において介護のお世話にならないための願掛けに、どこにそのお寺があったか知りませんが、両親はよく出かけていたようです。その所為かどうかは分かりませんが、いまから30年近く前、両親は見事なくらいあっさりとこの世を去りました。
 親父はいつも朝と夕の2回、食事前に読経をするのが習慣でした。その独特の節回しは私の子供たちがよく真似をして、笑ったりしたものです。当日親父は前の家の主人と立ち話をしていて、兄貴が「そろそろ夕飯だよ」と呼びに行くと、いつものように読経に2階へ上がったそうです。しかし夕飯の時間になってもなかなか降りてこないので、2階へ見に行くと仏壇の前で数珠をしたまま倒れていたそうです。82歳でした。一方のお袋もそのころはまだ元気で、四十九日の法要のとき、我が家まで車で連れて帰りました。一週間ほど我が家に滞在した後、西宮の兄貴の家まで一人で鉄道を使って行き、数日滞在した後やはり一人で岐阜まで帰っています。そのお袋が親父が亡くなったわずか4カ月ほどあとに体調を崩し、2カ月もたたないうちに「老衰」で亡くなりました。80歳でした。介護といっても介添え程度でほとんど兄貴夫婦に迷惑をかけることなく、最後は義姉の手を取り、「ありがとう、ありがとう」といって亡くなったそうです。
私たち夫婦も共に高齢者といわれる年代になり、最近は自分たちの行く末についてよく話したりします。そしてまさに「ぽっくりさん」だった私の両親は、いったい何が良かったのだろうと考えたりします。ただ思い浮かぶのは二人とも非常に健脚で、常に身体を動かし働いていたということです。以前、「百歳バンザイ」というNHK番組があり、多くの元気な百寿者を紹介していました。あるおばあさんはお嫁さんに代わって小さい子供の面倒を見ていて、子供が道路に出ようとするとそれを走って追って止めようとしたり、子供をおんぶひもで背負ったりしていました。あるおじいさんは電気の保全業務で電柱に登ったりしていました。百歳でもこんなに元気に生きられるのかと感心したことを覚えています。自然界の動物は敵から逃れるため、常に身軽な体型を保っているそうです。人間も動物、いつまでも自分の足で移動し、自分の身は自分で守ったり、身体を使って働くことは生きるための基本なのでしょう。それと「絶対に介護で人の世話にならない」という強い意志、願望も、現実には明日倒れるかも知れませんが、何も考えずに生きることに比べれば、終末人生にかなり大きな差を与えるように思うのですが、どうでしょうか? 

2015年8月30日日曜日

世界陸上競技大会

 いまから10年近く前、大阪で世界陸上競技大会がありました。陸上競技にあまり関心は無かったのですが、招待券を頂いたこともあり、家内と長居スタジアムまで出かけたことがあります。しかし思ったよりトラックまでの距離が遠く、走る選手が遠くに感じられ、フィールド競技の砲丸投げや棒高跳びになると、双眼鏡でもないと選手の顔もよく分からず、遠くの方で何かやっているといった感じで迫力が全くなく、いささかガッカリして帰ってきたことを覚えています。ただ、競技を終えた選手達が観戦のため間近の空席に座りに来るため、有名な選手をすぐ隣で見ることができたのはよかったですが。
 ところで先日、何気なくテレビをつけると北京の世界陸上競技大会をやっていました。丁度砲丸投げをやっていましたが、あまりなじみのない競技も選手の真剣な顔がアップされ、投てき距離、順位などがすぐに分かると結構面白く、つい引き込まれて見ていましたが、そのうちに他の競技、とくにトラックの7~8名による真剣勝負が始まると、もうとにかく面白く、毎晩のようにテレビで観戦するようになりました。特に「陸上の華」といわれる100m、200m走には日本選手が男女4人も出場し、ワクワクした思いにさせられました。
 それにしてもボルトを始めとする短距離選手のあの筋肉、スゴイですね。画面にアップされるその筋肉姿は男女ともすごい迫力、美しさで、身体を見ただけで日本選手の劣勢が分かる気がしました。しかし中距離、長距離になるとその筋肉がだんだんと削ぎ落とされ、日本人選手でもあまり見劣りしなくなります。それと短距離選手がほとんど黒人であるのに対し、中距離、長距離になると白色、黄色系が増えてくるのが面白く、筋肉の付き方に人種の違いがあるのかと不思議に感じます。
 私たちの身体の筋肉には「赤筋」と「白筋」の二種類があるそうです。赤筋は血液が運ぶ酸素で脂肪を燃焼させる「有酸素運動」により働く筋肉で、血の赤い色をしています。収縮速度が遅く「遅筋」とも呼ばれます。一方、白筋は酸素がいらない「無酸素運動」で働く筋肉で、グリコーゲンという糖質をエネルギー源にしています。収縮速度が速く「速筋」とも呼ばれます。長距離、マラソンの選手は息をしながら長距離を走り続ける必要があり、赤筋が発達しています。一方、短距離選手は100m、200mをほとんど息をしないで走り、筋肉は超高速で伸び縮みする必要から白筋が発達しています。マグロは大海を長時間泳ぎ続けることから酸素を運ぶ血液が大量に必要で赤く、脂肪を燃焼させることから脂がよくのっています。一方、ヒラメは普段は海底でジッとしていて、エサが来たときだけパッと瞬間的に行動することから血液による酸素はいらず、だから身は白く、脂分も少なくて味が淡白です(見た目はマグロが短距離選手、ヒラメが長距離選手に見えますが)。砲丸投げ、ハンマー投げの選手も瞬発力が求められることから、白筋が発達しています。しかし彼らに短距離が走れるようにも見えないことから、同じ白筋といっても使う筋肉が違うのでしょう。そういえば昔、スピードスケートの橋本聖子選手が夏に筋肉を鍛えるため、自転車競技にチャレンジしたことがあります。しかし自転車とスケートでは使う筋肉が違うということで、あまり効果がなかったようです。日本の短距離選手も筋肉を鍛えるため、いろいろウエイトトレーニングをしているようですが、そうして鍛える筋肉と走る筋肉とはやはり違うのかもしれません。そうでなかったら短距離にもっと白色、黄色の選手が増えてもいいはずです。
ところで筋肉というのは鍛えれば何歳になっても増やすことができるそうです。逆に使わないとどんどん減少し、疲れやすく、怪我をしやすくなると云います。しかも加齢とともに筋力の低下はスピードアップするので、高齢者がちょっとしたことで安静にしたり寝込むと、かえって筋力低下から歩けなくなり、「寝たきり」になりかねないと云います。加齢に伴い大きく萎縮するのは白筋です。瞬発力を必要としないからで、老化対策としては白筋(速筋)を増やすことが重要と云います。白筋を増やすにはグッと瞬間的に力を使うダンベルの上げ下げや、腕立て伏せなどが有効で、短時間でよいので毎日継続して鍛えることが大切です。寝たきりにならないためには赤筋(遅筋)を鍛えることも重要で、こちらはウォーキングなどの有酸素運動が有効です。

南雲吉則;空腹が生き方を教えてくれる、サンマーク出版(2013)
周東 寛;100歳まで寝たきりにならないための健康法、中経出版(2013)

2015年8月19日水曜日

ローソクづくり(つづき)

 前回、天ぷら廃油を使ってローソクを作ってみましたが、意に反して暗くてほとんどモノが見えず、キャンドルライフを楽しむどころでないことが分かりました。そして原因として芯に使ったタコ糸が細く、それが灯火を小さくし、ローソクを暗くしたのだろうと考えました。そこで前回より2倍ほど太いタコ糸を使って作り直し、市販の類似のローソクと明るさを比較してみました。タコ糸の太さはほとんど同じです。

天ぷら廃油(左)と市販(右)のローソク
ローソクの傍らに本を置き、まず作り直したローソクに点火してみました。しかしやはり前回と変わらないほど暗く、本を読むことができません(写真には本も写っていません)。次に市販のローソクに同様に点火してみました。するとかなり明るく、本もかろうじて読むことができます。この比較から暗い原因がはっきりしました。ローソクの芯の太さというより、天ぷら廃油のローソクはぐい飲みチョコに流し込んで作ったのですが、流し込むときあふれてはまずいので、チョコの9割程度の高さにまでしか廃油を流し込んでいません。ということはローソクの灯火の周りにチョコの壁ができ、それが灯火をさえぎってローソクの足元を暗くしていたのです。ちなみにローソクを持ち上げると本はますます暗くなり、一方、市販のローソクは持ち上げると本がさらに明るくなりました。

天ぷら廃油のローソク
今回の実験から、ローソクを容器に流し込んで作る場合は、容器は光を通すガラス製のものであること、足元を明るくするにはローソクは細く、背の高いものが良いということが分かりました。一般にローソクは細長いですが、やはりそうした理由があるのです。どんなこともやってみて理解できるものです。

市販のローソク
ところで前回作ったローソクは、お盆で帰ってきた長男家族が花火をするというので、その火種に使っていましたが、花火のなかの一つが燃えたままローソクの上に落ちました。いずれ消えるだろうとそのまま放置していたのですが、そのうちに熱でローソクが溶け液状化してしまいました。しばらくするとまた固まったのですが、廃油凝固剤で固まったように見えても、少し熱が加わると簡単に再溶融するようです。時代劇を見ると昔は行燈の中の火皿に菜種油とか魚油を入れ、そこに灯芯を浸して点火していますが、天ぷら廃油のローソクはこの行燈の油に毛が生えたようなものともいえます。ちなみに江戸時代はロウを使ったローソクは非常に高価で、照明には使えなかったといいます。そこで行燈で油を燃やしたわけですが、その油も菜種油はかなり高価で、一般庶民は臭いやススのでる魚油(イワシ油)を使ったといいます。しかしその魚油すら高価で、油売りは量った量の最後の一滴まで油さしに入れることが求められ、それに時間がかかるため世間話などで間を持たせる必要があり、これが一見仕事を怠けているように見えることから、「油を売る」という言葉が生まれたといいます。


2015年8月12日水曜日

ゴボウ堀り

 家内からゴボウ掘りを手伝って欲しいといわれ、早朝にそろって上の畑へ出かけました。「エコの環」野菜の販売では、ゴボウはなかなかの人気商品で高く売れることから、家内たちもゴボウに初挑戦し、それが出荷の時期を迎えたからです。ゴボウは掘るのが大変といわれ、だから家内たちは30cmほどの短い品種のゴボウを育てたといいます。そこで私はくわとスコップを、家内は手ぐわとカマをもって出かけました。
手ぐわでゴボウの周りの土を取り除く

 ゴボウは里芋のように大きな葉っぱを付けていて、それが掘る作業の邪魔になるので、まず葉っぱをカマで取り除きました。そして手ぐわでゴボウの周りを削ると順調にゴボウが表れ始めたので、私も手ぐわを取ってきて掘り始めたのですが、すぐにカチカチの土にぶち当たり、作業が全然進まなくなりました。まるで石のように固く水も通さない感じの土で、持って行ったくわ、スコップでもなかなか歯が立ちません。家内たちがゴボウの種をまくとき畝の下を掘り起こさず、そのまま畝にまいたため、畝の下の土が固くこのようなことになったと思われます。それにしてもこんな固い所をよく成長したものだとつくづく感心したのですが、それに間引きをしていなかったためかゴボウとゴボウの間隔が狭く、掘りづらい上にエンピツのように細いゴボウが多く、注意しないと折れてしまいます。そこで三つ又という農具を近くの人から借りてきて、ゴボウの横を掘り起こし始めました。しかし三つ又をしても掘り起こすのが大変で、土は細かくならず5~10cm大の塊に崩れるだけで、挙句は掘り起こす際の力で三つ又が柄から抜けてしまい、私の手のひらはまめがつぶれてしまいました。
カチカチの土

 散々苦労してそれでもなんとか大小20本ほどのゴボウを掘り出しました。そしてその中の比較的見栄えの良いものを持って家内は売りに出かけました。後で聞くと2~3cm径のもの6本を300円で売ったといいます。「エー、1本たったの50円か」と絶句し、見栄えは悪くてもあんな土の中で育ったゴボウは、生命力いっぱいに違いないと思ったのですが、買う人にすれば私たちの苦労やゴボウの素性は分かりません。ましてスーパーではもっと長く立派なものが、2本100円で売られていると聞くと、改めて農業経営の難しさを思い知った感じです。
 いずれにしても次にゴボウを育てるときは、畝下の土を20~30cmは掘り起こし、間引きをしっかりしようと、家内と話し合った次第です。
掘り出したゴボウ

2015年8月2日日曜日

ローソクづくり

 今年の夏は例年になく身体が重く感じられ、特に昼過ぎは何もする気にならず、先月74歳になったこともあり、「やはり年なのか」と少し寂しく感じていましたが、会う人会う人がみな一様に、「最近のこの暑さ、どうなっているの? たまらないヨ」というのを聞くにつけ、年齢だけでなく猛暑の所為でもあることが分かり、気を取り直しています。
 いま国連では、気温の上昇を産業革命前に比べ2℃未満に抑えようと、今年の年末にパリで開かれるCOP21に向け準備が進められています。そのためにはCO2の累積排出量を3兆トンに抑える必要があるそうですが、いまのままでは30年以内にこの枠を突破しかねず、2℃未満といっても達成することがきわめて厳しいことが分かります。いま暑い暑いといっても、産業革命前に比べ0.85℃高くなったにすぎず、これがさらに1.15℃上昇して2℃ですから、いかに交渉が難航しようと2℃未満達成にむけ頑張らないと、私たちは30年を待たずして「酷暑」でゆで上がり、異常気象で水没しかねない状態に追い込まれかねないのです。私自身は「停電」を導入するくらいの荒療治をしないと間に合わないのではと思っていますが、いきなり停電といっても難しいので、これからは「便利な生活を求める」のでなく、「不便な生活をエンジョイ」するようなことを、みなでいろいろ考えていく必要があるのではと思っています。”ピンと活き生き”宮津ライフの第3回抽選会(対象期間;7~9月)では、「家でライトダウン(照明オフ)デーを設け、キャンドル(ろうそく)生活を楽しんでいる」といった、いささか先走った項目を敢えて設け、廃食油を使った「エコキャンドル」の作り方を添付しましたが、実際にそうした生活がどのようなものであるか体験するため、我が家の廃食油を使ってエコキャンドルを作ってみました。
廃食油のろ過

 まず①廃食油を乾燥したコーヒーの出し殻でろ過します。これはススや臭いを抑えるためで、約80mlの油を濾すのに1時間ほどかかりました。次に②この80mlの油を85℃ほどに加熱し、そこにロ-ソクのロウ8g、廃油凝固剤4g(指定量の1.5倍)を投入し、ゆっくり混ぜながら溶かします。そして③サラサラになったら空き容器に注ぎ、そこにタコ糸を垂らします。容器に注ぐとき細かく削ったクレヨンを混ぜると色が付けられ、少し冷めた時点でアロマオイルを数滴たらすと香りが楽しめるそうですが、今回はどちらも実施しませんでした。ところで今回の実験は、以前に新聞に載っていた記事を参考に実施しましたが、実験をする前、なぜロ-ソクのロウが必要なのかがよく分かりませんでした。多分無くてもロ-ソクはできると思います。しかし凝固剤だけでは十分な固さが得られないため、固さを得るのに融点の高いロウを加えるのだと思います。

廃食油と溶かしたローソク、凝固剤

 作ったロ-ソクで夜、実際にライトダウンを実施してみました。しかし正直なところ暗くて字は読めず、食事も何がどこにあるのか手さぐり状態で、キャンドルディナーどころではありませんでした。また、顔を写してもらおうとしたのですが、私のカメラでは暗くて焦点が合わせられず、写真も撮ることが出来ませんでした。これでは「不便な生活をエンジョイする」といっても不便すぎて、エンジョイどころではないとガックリきたのですが、しかしそのときタコ糸の細いのに気が付きました。タコ糸をもっと太くすれば油の燃焼量が増え、きっともっと明るくなるはずです。そう考えるとまた急に元気が出て、再チャレンジしてみようと考えています。

暗すぎるキャンドルライト



2015年7月24日金曜日

夏カゼ

 寝冷えからウッカリ夏カゼを引いてしまいました。一週間ほど前の蒸し暑い夜、私はこうした夜は大抵敷布団からタタミへ、ときには廊下にまで移動して、パジャマだけになって寝ているのですが、このときも夜中にふと気が付くとタタミの上で大の字になり、冷え切った身体で寝ており、あわてて掛布団をお腹にかけたのですが、ときすでに遅く、翌日は一日中ゴホン、ゴホンと咳が出て止まりませんでした。「しつこい咳だなー」と思ったものの休日であったため病院には行かず、一日、我慢して過ごしたのですが、夜寝入ってから咳が更にしつこくなり、止まらなくなりました。「弱ったなー」と思ってもどうしようもなく、掛布団をしっかりお腹に乗せ、少し汗ばむ感じであったのを我慢して、身体を冷やさないようにだけ注意して時の過ぎるのを待ちました。気が付くといつの間にか寝入っていて朝になっていたのですが、掛布団でお腹を温めたのが良かったのか、咳はすっかり止まっていました。やはり身体は冷やしてはダメ、温めることがいかに大切かを痛感しました。
 咳が止まったので病院行きをどうしようか迷ったのですが、のどが痛いのとすっかりガラガラ声になっていたため、念のために出かけてみました。看護婦さんとの事前の問診では寝冷えによるカゼだと伝えたのですが、医者は問診票や血圧の値を見ながら「手足にしびれはないか?」、「水をこまめに飲んでいるか?」とか、「最近韓国に行ってないか?、中東は?」、「韓国、中東から帰った人と会ってないか?」など、最近テレビをにぎわせている、あるいはにぎわせていたことを疑うところから問診を始め、改めてそうした問題の深刻なことに驚いた次第です。結局、インフルエンザと診断され、点滴と薬をもらって帰ってきました。
 ところで我が家では、お風呂は今月の初旬ごろまでお湯を張って入っていました。比較的涼しい日が多かったからです。しかしその後は気温の高い日が続き、段々とシャワーに切り替えていったのですが、寝冷えをしたのをきっかけにやはり身体を温めようと、しかしお湯をいっぱい張るのはもったいないので、湯船に10cm程度張り、腰湯ならぬ「尻湯」を始めてみました。湯船に蓋をして首だけ出して入るのですが、最初は身体が涼しく感じられても数分で汗が少しづつ出始め、10分もすると全身から玉のような汗が吹き出てきます。夏は日中、排毒のためにできるだけ汗をかくようにしているのですが、この尻湯も汗をかくには最高で、毎日、排毒のダメ押しを行っています。

いい尻湯だな!

 



2015年7月17日金曜日

「和食」の料理教室


 ちーたびとして「和食」の料理教室を、6名の参加者(全員女性)を得て吉津地区公民館で実施しました(7/12)。
 最初に講師の高岡氏から、生活習慣病対策には塩分の摂取量(塩分7g/日以下)を守ることが重要で、味付けにはだし汁をしっかり取り、塩・しょうゆ・味噌をできるだけ減らすこと、また、運動が大切で、いまより1日1,000歩多く歩くこと、食中毒防止のため手洗いをしっかりすることなどの話があり、その後、食生活改善推進員協議会(食改)の料理講習レシピにのっとり、①適塩みそ汁(だし汁を使用)、②鶏肉のくわ焼き、③トマトときゅうりの酢の物、④具沢山おから、⑤豆乳かんなど、5種類の料理の調理にかかりました。最初は5種類は少し多いのではと心配しましたが、さすが調理になれた女性達だけに、レシピを見ながらテキパキと流れるように仕事を分担し、丁度お昼のサイレンが鳴るときには配膳が完了し、全員そろって料理を頂くことだできました。なお、ごはんは7分づきのお米に雑穀を混ぜて炊きました。
 普段赤味噌のみそ汁を飲んでいる私には、適塩みそ汁は少し物足りない気もしましたが、しかし飲み慣れればなじめそうな味でもありました。酢の物は「エコの環」野菜のトマトときゅうりの味が引き立ち、おからは玉ねぎの甘さがさえ、とてもおいしく感じました。また、食改会員でお手伝いをされていた方が、知らぬ間にだし汁を取った後のジャコと昆布で佃煮を作って出され、これがごはんのおともに最高で、とてもおいしくいただくことができました。
 会食中はレシピなどいろいろな話題に話が弾み、13時になっても話が尽きず、スケジュール遂行上私たちをハラハラさせましたが、何とか別室に移っていただき、交流会を開きました。
 まず最初に私たちの「エコの環」の活動を紹介した後、なぜ和食が生活習慣病によいのかを簡単に説明しました。和食は一見粗食に見えますが、ミネラル、食物繊維、フィトケミカルなど、最近健康面、アンチエイジングで注目されるようになってきた栄養素を摂るには最高の料理で、酵素も豊富に取ることができます。しかしこの折角の和食もお米を精白することによりミネラル、食物繊維が不足して、最近は便秘症の人が多く、分づき米や麦の添加が必要なこと、野菜は上記栄養素に富むため多く摂った方がよく、アメリカは「5 a Day」運動で野菜を多く摂ることを推奨し、いまでは摂取量は日本人を追い越し、ガンの罹患率などにはっきりその効果が表れていること、しかし野菜も最近はミネラル欠乏のものが多く、その点「エコの環」野菜はミネラルが豊富なことなどを説明しました。講師の高岡氏も私たちの玉ねぎの甘いことにビックリされ、素材の甘みを生かせば砂糖の使用量を減らせ、それが結局塩分を減らすことにつながると云っておられました。
 質疑の中で調理に使う食塩と自然塩との差について質問がありました。それに対し高岡氏から、自然塩は確かにカリウム、マグネシウムなどのミネラルが多く好ましいが、いずれにしても塩分の取りすぎはよくなく、長野県は塩分摂取量を減らし、野菜を多く摂ることで長寿日本一になったと説明されました。交流会後のアンケートに、「自分の味噌汁の味がすごく辛いのに気が付いた」と書かれた参加者がおられましたが、今回の料理教室の成果がさっそく現れたように感じました。
 なお調理に使った「エコの環」野菜については、今回も参加者の多くから、こうした野菜を求めている人は多いはず、ぜひ頑張って販路を拡大してほしいとの励ましの声をいただきました。そんな声に勇気をもらいながら、ちーたびを散会しました。






2015年6月30日火曜日

生活習慣病対策「和食」

 先日のテレビで、食事において「一物全体」をいただくことの大切さを放映していました。一物全体というのは食料として頂く動物、植物の全体を指します。つまり生物として成長したものの全体を食べた方が、栄養バランスの取れたものがいただけるという意味です。テレビではトウモロコシのヒゲや、実を取った後の芯まで料理に使っていました。確かに大根にしてもお米にしても、捨てる葉っぱや米ぬかの方に栄養は偏っており、できるだけ一物全体をいただく方が栄養バランス的にはよいわけです。その点、肉や大型の魚などは全体のごく一部を食べることになります。それが原因かどうかはわかりませんが、面白い話があります。
 20世紀初頭の第一次世界大戦時、酪農国家デンマークは海上を封鎖され、食料が輸入できなくなったそうです。そこで牛、豚、鶏などの家畜をすべて処分し、家畜に与える穀物や野菜をすべて人間に回したそうです。肉を1キログラム作るのには少なくても7~8キログラムの食糧が必要で、大変不経済だからです。その結果は病気が激減し、平均死亡率も大幅に減少し、歴史的健康時代を迎えることになったそうです。一方、ドイツは逆に穀物や野菜を家畜に与えて食肉化し、それを食べて敵軍を蹴散らそうとする政策を取ったそうです。しかしその結果は慢性疲労や病気が蔓延し、ドイツは敗戦国になったというのです。ブログ長生きするには肉を食べるな? 食べろ?でも、明治政府の招へいで日本に長期滞在したドイツ人医師ベルツ氏の、日本における興味深い実験を紹介しました。低たんぱく、低脂肪の粗食を食べていたお抱え人力車夫に、ドイツ栄養学に基づいて肉を食べさせたところ、それまで毎日40キロを走ってもなんともなかった車夫の疲労がはなはだしく募り、走破できなくなったというのです。そこで食事を元に戻したところ元通りに走れるようになり、ベルツ氏は一見「粗食」に見える日本食の威力に脱帽したという話です。これらの話は人間にとって本当に必要な食べ物は肉類ではなく、穀物と野菜であることを教えています。
次回ちーたびのチラシ
いま和食が世界で大変なブームになっています。和食はお米、野菜、発酵食品をベースにしていて、現代人に決定的に不足しているといわれるミネラル・食物繊維が豊富で、第二の脳といわれる腸の調子を整え、血糖値・コレステロールの上昇を抑え、免疫機能を高めてくれます。また、野菜に含まれるフィトケミカルは体内で抗酸化作用の働きをして、老化やガンを予防してくれます。しかし肉とか魚には食物繊維が含まれていません。だから便秘気味の人や便秘になりがちな高齢者が多く食べると、体内で腐敗して毒素をまき散らすことになりかねません。また、魚はコレステロールや中性脂肪を低下させるEPA、DHAを含んでいるため、食べることを推奨されますが、大型になると食物連鎖により水中に微量溶存する有毒物質(PCB、DDT、ダイオキシン類など)を、数百万倍にも濃縮して蓄積しているといわれ、食べるならできるだけ濃縮の少ない小魚で、一物全体をいただくようにした方がよいといえます。和食は食物繊維が多いため、よくかんで食べる必要があります。このよくかむということが消化だけでなく、脳の活性化にもとても大切なのです。食事は一口30回よくかんで、感謝しながらゆっくり食べましょう。それがどんな薬・サプリメントよりも身体・精神面にとって有効だからです。
 7/12(日)に吉津地区公民館(宮津市)において、宮津市食生活改善推進員協議会会員で管理栄養士の高岡弘美氏を講師にお招きして、「生活習慣病対策 和食の料理教室」を開催します。食材には私たちの「エコの環」野菜をできるだけ使いたいと考えています。時間は10時~14時で、会費は1,500円、定員10名です。ふるってご参加下さい。

2015年6月16日火曜日

高校生への初講義

 先日、府立海洋高校に出かけ、海洋工学科海洋技術コースの生徒さん19名に、阿蘇海のへどろからの人工ゼオライトの合成、へどろを使ったヒートポンプの作製について約2時間、講義をしてきました。海洋高校の生徒さんが阿蘇海で、水質浄化に効果のあるアサリの育成やアマモ場の造成に取り組んだり、アサリの外敵であるヒトデを除去し、それで堆肥づくりをされていることは伝え聞いていて、同じ阿蘇海を研究対象にされていることで関心はありましたが、特に接触のないままいました。しかしたまたまある会合で海洋高校のある先生とお近づきになり、それがきっかけで今回の話になった次第です。
 私も人に話をする機会はときどきあり、それこそ青年から老人までいろんな階層の人たちに話をしてきました。しかし高校生というのは初めてで、簡単に引き受けたもののいざその日が近づいてくると、どんな話の内容にしたらよいかいささか不安になってきました。やはり高校生というからには、話のなかに物理や化学で習っていそうなことをできるだけ取り入れ、そうした原理や法則、化学式が実際の応用(人工ゼオライトの合成、ヒートポンプの作製)ではどんなところにどう使われ、どう活かされているかを学んでもらうことが大切ではと考えたからです。かといってあまり力を入れすぎても興味を削ぐことになり、いろいろ悩みながら話の要点を3頁にまとめ、事前に先生に送ってコピーしていただき、当日はそのレジメにそって話を進めました。

講義の様子
装置を使っての説明
最初はへどろの成因やその性質から話を始め、なぜ人工ゼオライトが合成できると考えたか、ゼオライトの特徴やなぜそうした性質をもつのか、その特徴を活かした実際の応用例、また、へどろにすばらしい吸湿/放湿特性のあること、その性質を利用するとヒートポンプが作れ、温暖化対策になることなどを、教科書に載っていそうな法則や化学式などをアチコチに盛り込みながら話しました。こちらとしては生徒さんの反応を見ながらのぶっつけ本番の講義でした。しかしゼオライトの特徴となる元素の結合の話や、モル(分子量)濃度の計算の仕方、エアコンの仕組みの話などでは、眠そうにしていた子までが身を乗り出して話を聞いてくれ、とてもうれしく思いました。そして質問があるか尋ねるとすぐ何人かが質問をしてくれ、また、休憩時にも質問にやってきたり、人工ゼオライト合成時の途中サンプルを何人かが見に来て、濃紫色の廃液や海水による廃液処理時の沈降物をジッと眺めていたり、その真剣な表情がとてもかわいらしく感じられました。ヒートポンプの説明でも「気化熱」とか「凝縮熱」、あるいは「ブラウン運動」といった話にイチイチ合点しながら、一生懸命話を聞いてくれました。
 最後は数人から感謝の言葉をもらい、全員で敬礼され、とても面はゆい、しかしうれしい気持ちで帰ってきました。実験となるといろいろ実験環境的、あるいは時間的制約があると思いますが、へどろの有効利用を学校の学習に加えて頂ければ、阿蘇海を舞台にまさに地域貢献型の総合学習ができるのではと、今後の活躍を期待しています。


2015年5月29日金曜日

紫外線の害

 先日、テレビの林修の今でしょ講座で「紫外線の害」についてやっていました。顔のシワやたるみの原因の8割は紫外線によるものとして、ある男性の顔写真を紹介していました。彼の顔の右半分と左半分ではシワのでき方が全く違っていて、原因は彼がトラックの運転手として25年間、左側の窓から紫外線を浴び続けたことによると説明していました。また、最近は紫外線による皮膚ガンも非常に増えていて、紫外線対策がきわめて重要であるといっていました。残念ながらそのとき私は外出せねばならず、肝心の紫外線対策を見ることはできませんでした。
皮膚ガンといえば私も1年ほど前、ギョッとする体験をしました。私は若いころスポーツが好きで、夏はいつも日焼けをして真っ黒になっていました。そのせいかその後は特に身体を焼くような野外活動をしなくても、夏が近づくとすぐ日焼けをして顔が黒くなり、少々気恥ずかしい思いをしていました。お腹もブリーフのゴムが当たる辺りが黒ずんで、鏡で見るとまるでベルトのように黒い帯がお腹の周りを走っていました。そんなあるとき右ほほにアズキ大か、もう少し大きい黒いモノができているのに気が付きました。最初はシミだと思っていたのですが、段々とそれが盛り上がりヒゲが剃りづらくなりました。何だろうと不思議に思っていたのですが、お腹の黒い帯の上にも一か所、同様の黒いイボというか隆起物ができているのに気が付きました。そして家内からは耳の中に、黒いほくろ状のものができていると教えられました。びっくりしてさっそく病院に出かけ、診察と同時にそれが良性のモノか悪性のモノかの検査をしてもらいました。数日後、幸い良性であることが分かり、液体窒素で焼き取ってもらうことにしました。一週間に一度の通院で、組織を焼き取るのに一か月ほどかかったように思いますが、黒いモノが取れると不思議なことに顔が以前より少し白くなり、お腹の黒い帯状のものもあまり目立たなくなりました。まるで顔とお腹の周りにあった日焼けの色素が、一か所に集まって取れてしまった感じです。医学的にこうしたことがよく起きる現象なのかどうかは知りませんが、私自身は「エコの環」野菜を多く食べるようになってから起きた、三大変化の一つと感じています。その一つは排便の状態がすっかり変わったことです。それまでも便通は毎日ありましたが、コロコロであったり軟便であったりしたのがバナナ型に変わり、紙がほとんどいらなくなったのです。二つ目は前回のブログで述べたように、花粉症から解放されたことです。そして三つ目がこの日焼けの色素が取れたことです。
 日焼け色素の集合と野菜との関係の理屈はわかりませんが、ただ紫外線を浴びることは体内で活性酸素の発生につながり、それが体内の細胞を傷つけ、ガン・動脈硬化などの成人病や老化を促すことはよく知られています。そしてこの活性酸素の解毒には野菜や果物が有する抗酸化物質、ビタミンA、B、C、Eやフィトケミカルが有効だといわれます。日焼け色素の消失もこうした理屈の中にあるのではと考えています。

2015年5月22日金曜日

花粉症

 私はかつては春になると、くしゃみ・鼻水、目の充血、ぜんそくにいつも苦しめられていました。いわゆる「花粉症」です。しかし「エコの環」の活動に関わり、必然的に野菜をたくさん食べるようになってから体質が変わったのか、2~3年前からすっかりそうした症状が消え、花粉症から完全に解放されたように感じています。いまでは散歩に出かける時もマスクを忘れることが多く、花粉症のことをすっかり忘れてしまっています。しかし今年は4月の終わりごろから右の上瞼が少しただれ、やはり春はマスクをしなければと反省しているところです。
 花粉症は私たちの身体の免疫機能の「抗原・抗体反応」が、過剰に働くことで引き起こされるアレルギー疾患だといわれます。身体は自分と異質のもの(抗原)が体内に入ると、それに対する抗体を作るようになり、抗原が再び体内に入ると急速にその抗体を作って排除する働きをするのです。しかし人間が持つ5種類の抗体の中で、花粉という抗原に対しは「IgE抗体」が作られ、それがヒスタミンという刺激物質を誘発するため、身体のあちこちに不快なアレルギー症状を引き起こすといわれます。つまり免疫細胞の働きが必要以上に強力となり、皮膚や粘膜面の弱い部分に強い炎症を発生させてしまうのです。
ところで私たちは酸素を吸って生きています。しかし酸素はほとんどの物質を酸化させるほどの毒性を持っていて、私たちの身体の免疫システムも、実はこの酸素をさらに強力にした「活性酸素」を使って、外敵である病原体をやっつけています。だから私たちの身体は常に漏れ出る活性酸素の危険にさらされているのですが、通常はSODという酵素がすぐに中和の働きをして、身体を守ってくれています。しかし私たちが仕事や不幸などによる心理的ストレス、また排気ガスや工場のばい煙、食品添加物や残留農薬、電化製品からの電磁波などの物理的ストレスを多く抱えると、こうしたストレスが体内で活性酸素を発生させるためSODの解毒が間に合わなくなり、余剰の活性酸素が身体の粘膜面を傷害して炎症を引き起こし、花粉症を助長することになってしまうのです。こうした活性酸素を解毒するのにビタミンA、B、C、Eとか、お茶に含まれるカテキン、緑黄色野菜の中のカロテンなど、フィトケミカルといわれる「抗酸化力」のある物質が有効といわれます。だから野菜・果物を多く食べることは花粉症対策だけでなく、身体をサビつかせない、老化させない意味でも大変大切なことなのです。
 一方、腸は免疫力を司る重要な器官で、その善玉菌と悪玉菌のバランスがとても重要だといわれます。老化や薬の服用などによってもそのバランスが大きく崩れるからです。だから善玉菌のヨーグルトなどの摂取が盛んに宣伝されますが、私自身はその前にまず排便が重要と考えています。便秘がちでは悪玉菌が強すぎて腸内環境を整えることができないからです。だから排便を促す食物繊維を多く摂って便秘を解消することが先決で、これにより腸内環境が整えられると、免疫システムがIgE抗体の産生を抑える側に傾き、花粉症の改善につながるといいます。私が花粉症から解放されたのも、腸内環境の改善によることが大きいと考えています。なお、野菜の青ジソ、ショウガ、ニンニク、長ネギ、玉ねぎ、ニラ、レンコンなどの野菜には、IgE抗体の産生を抑制する「抗アレルギー性」の性質のあることも認められています。いずれにしても野菜は非常に大きなパワーを秘めており、「エコの環」野菜をすこしでも早く、多くの人に届けられるようにしたいと考えています。

2015年5月1日金曜日

パソコンの初期化

 半年ほど前からパソコンが再々フリージングを起こすようになりました。かつてのパソコンのように「完全に凍り付いて動かなくなる」というのでなく、「フリーズして10数秒間、”輪っか” がクルクル回った後自動復帰する」というもので、メーカーのサポートセンターに何回も相談しましたが、なかなかラチがあきません。何回かやりとりするうちにパソコンの初期化をすることになりました。初期化となるとパソコンを購入時と同じ状態に戻すわけで、事前にすべてのインプット情報のバックアップを取っておく必要があります。それが厄介なので2~3のパソコン屋に相談したところ、2~3万円かかるといいます。それはチョット高いのではと、結局自分でトライすることにしました。今のパソコンの起ち上げはすべて自分でやったので、何とかなるだろうと思ったわけです。
 サポートセンターの女性の指示に従い初期化に着手したのですが、「ソフトのインプットに3時間ほどかかるので、終わったら連絡してくれ」といいます。こちらはものの20~30分で終わると思っていただけにビックリです。冷静に考えれば基本ソフトの情報量は膨大であろうし、それくらい時間がかかって当然かも知れません。しかしそんな大事とは考えてもいなかっただけに、「オイオイ、それならやる前に言ってくれヨ」というのが本音で、「しまった!」と頭を抱え込んでしまいました。月末でやらねばならないことがたくさんあり、こんなことに時間をかけておれない状況だったからです。だからイライラしながら「サポートセンターの終了時間19時までに何とか終わってくれ」と、ひたすらパソコン画面を眺めていました。終了時20分ほど前にやっとインプットが終ったので急いで電話をかけると、例の間延びした番号案内が長々と続き、そして「大変込み合っていますので10分ほど待つか、かけ直して下さい」のメッセージが何度も繰り返されます。しかしこのまま中途半端では終われないので必死に待ち、何とかその日のうちに無線LANとインターネットの接続だけは、済ませることができました。

愛用のパソコン
翌日はメールを接続せねばと早々にパソコンを立ち上げました。しかしプログラムの環境整備とかの操作が始まり、これがまた延々と続き、結局また3時間ほど何もできず、ただひたすら作業が終わるのを待っていました。やっと終わってメール接続の手続きを始めたのですが、今度はパスワードが違うと拒否され、全然接続できません。実はプロバイダーを乗り換えたときに、パスワードを変えていたようなのです。必死になって探しだした書類の中にそれを見つけ、やっとメールアドレスの一つはつながったのですが、いま一つのメールアドレスの方はやはりパスワードがメモと違っていて、それにその他のドタバタも加わって、結局つながるのは翌日に持ち越してしまいました。
 何も問題のないハズのプリンターの接続においても、プリンターへのインストールに何回も失敗し、まったく訳が分からずパニックになりかけました。プリンターへのプログラムは既にインプット済みであったためのことで、終わってみれば「なーんだ」といったことも、早く起ち上げねばと焦っているときには、とても大きな壁となって行方をさえぎるのでした。
 今回初めてパソコンの初期化に挑戦したのですが、その起ち上げには結局足かけ3日もかかってしまいました。これでは2~3万円を請求されても仕方がないと感じました。今のパソコンを買ったとき自分で起ち上げたと云いましたが、前回は古いパソコンが使えたため、焦ることは何もなかった訳です。しかし今回はパソコンが起ち上がらない限り何もできず、それが切迫感となって焦りを生み、些細なことで随分苦労したように思います。「いい経験をした」というには頭が真っ白になる(初期化する)ほどの経験でした。


2015年4月19日日曜日

少エネ対策

 京都議定書(1997年)に代わる新たな国際的枠組みが、国連で作られようとしています。京都議定書では温暖化ガスの90年比5%削減を目標に、37の国・地域が参加して目標を大きく上回る22.6%の削減を達成しました(08~12年)。しかし最大排出国のアメリカが離脱したり、中国やインドが義務を負わなかったため、温暖化ガスは逆に50%も増えてしまい、いまのままでは平均気温の上昇を、世界が目指す2℃以内(産業革命前比)に抑え込むことが難しく、大胆な削減目標を設定する必要に迫られているからです。日本もかつては「20年に90年比25%削減」と世界をリードする数値を掲げたこともありましたが、原発を根拠にしていたため東日本大震災後はすっかり迷走し、国連へ提出する削減目標も、期限が過ぎても未だできない状況にあります。
 温暖化対策というといつも再生エネルギーへの転換のみが、議論の的になります。確かに火力発電は温暖化ガス発生の元凶であり、原発は温暖化ガスは発生しないものの危険極まりなく、再生エネルギーの導入が必須なことは分かります。しかし再生エネルギーだけが温暖化対策で、それを増やせば火力発電や原発が本当に減らせるのでしょうか。いま太陽光発電で原発1基分(100万キロワット)の電力を賄おうとすると、東京の山手線が囲う範囲の4倍の面積にパネルを敷き詰める必要があるそうです。これでは日本にある50基の原発の1基を減らすのも大変です。それと太陽光による発電はタダのように考えられがちですが、その売電価格は1キロワット時当り40円弱で、電力会社の発電コスト14.8円(2013)よりはるかに高く、その差額は「再エネ促進賦課金」という電気料金となって、ソックリ私たちの負担になっています。しかもこの5月からそれが、使用電力1キロワット時当り0.75円から1.58円に値上げになるといいます。何故そんなに発電コストがかかるかというと、発電用のシリコン半導体や付属設備を作るのに膨大なエネルギーを使うためで、その元を取るのに10年近くかかってしまうからです。だから発電がタダになるのは10年近くたってからの話で、その間は火力発電の方が使う化石燃料はむしろ少ないという、何とも変なことが起きてしまうのです。
ところでいまテレビを見る時間を、毎日1時間減らすとしたら、どれくらいの節電になるでしょう? わが家のテレビは53Wですから、0.053キロワット時/日の節電ということになります。一方、わが家には太陽光発電の設備はありませんが、もし3キロワットのパネルで発電していたとしたら、どれほどの発電量が得られるでしょう? 太陽光発電の稼働率は10%ほどらしいので、7.2キロワット時/日となります。7.2/0.053=136、つまりいま136軒の家がテレビを毎日1時間消すことに協力すれば、太陽光発電1軒分の発電量を減らすのと同じ効果が得られます。宮津市全戸が協力すれば、約60軒分の太陽光発電の電気を使わないのと同じ効果が得られるのです。
 いま太陽光パネルの設置があちこちで実施され、その発電量の急増に一部の電力会社では買い取り拒否の動きもあります。太陽光発電は不安定なため、電力会社にとってはシステムかく乱の原因になるからです。太陽光パネルを少々設置したくらいでは原発や火力発電を減らせないこと、また、現段階では太陽光発電は火力発電よりかなり割高で、温暖化対策の切り札になりがたいことは前述の通りです。むしろ再生エネルギーを増やすことは、電気の無駄使いにつながりかねません。ならば残された方法は節電しかなく、それが本当の意味での温暖化ガス削減対策ではないでしょうか。テレビや電灯、あるいは車、一つ一つの使用エネルギー量はわずかでも、その無駄をなくし、賢い使い方を皆で考え協力し合えば、再生エネルギーの設置よりはるかに効果的な結果につながると考えられます。再生エネルギーとか省エネ家電というのは、所詮「他力本願」というか逃げの方法です。次世代のことを本当に考えてやるのであれば、私たちはもっと真剣にエネルギーの削減に努力する必要があるのではないでしょうか。”ピンと活き生き”宮津ライフで、こうした自力本願の活動にも取り組んでいきたいと考えています。

槌田敦;エコロジー神話の功罪、ほたる出版、2006

2015年4月7日火曜日

2014年度のまとめ

 昨年度下期より京都府のソーシャル・ビジネスプログラムの支援を受け、生ごみ処理機「たいぞう君」を2台増やして全部で6台にし、堆肥不足の緩和を進めると同時に「ちーたび」を実施して、多くの方々に「エコの環」事業を知ってもらう努力をしてきました。
 まず生ごみ処理ですが、仕出し料理屋、旅館など3か所から生ごみを頂いて処理しました。しかし非常に多いときやほとんど無いときなど量の変動が激しく、それを吸収するのに苦労しました。そんなことから想定した処理量には届きませんでしたが、それでも1.1トンほどを処理し、野菜にして27万円ほどの価値を生むことが出来ました。次にちーたびですが、その内容についてはちーたび(つづき)料理教室で触れました。私たちが「エコの環」を進める上でいつも難しく感じるのは、それが阿蘇海の環境改善につながることを分かってもらう点です。ゼオライトを少量でもへどろから生産しておれば理解してもらえ易いのでしょうが、しかしそれはある程度の生産量がないと採算的に無理です。しかも阿蘇海の環境悪化を持ち出しても宮津湾側で泳げたり、魚を買うのに困らない限り、誰も阿蘇海の環境などに関心を示してくれません。そこで私たちは「エコの環」を、いま日本が直面する高齢者問題・社会保障問題の切り札と捉え、その対策としての仕組みづくりに頑張ればゼオライトの需要が拡大し、結果として阿蘇海の環境修復につながるという考えで活動していますが、これには長い説明が必要となり、それが理解を難しくしている点は否めません。そこでちーたびではチラシに「おいしい野菜を食べて 美しい阿蘇海を!」とうたって、参加者にはその意味を「なぞ」にして、見学会、食事会、交流会をするなかで、だんだんとその「なぞ解き」ができるようにしてきました。その意味ではちーたびはよいイベントであり、「エコの環」の周知と野菜の販路拡大につながっていくことを願っています。因みに2014年度の野菜販売額の推移は下図の通りです。栽培者の休業や獣害もありましたが、何とか66万円の売り上げを得ることが出来ました。
 一方、へどろ吸湿材を使ったヒートポンプの実験では、ヒートポンプによる吸熱を発電にも利用できないか、ペルチェ素子を使って実験してみました。そして微弱ながら発電も可能なことを確認しました(右下図)。今後は何かのイベント時に、そんな実験で人々を驚かせてみたいと考えています。

冷却効果と発電効果
また、昨年は当ブルーシー阿蘇が認定NPO法人に認定されました(11/6)。いま京都府下には1,150ほどのNPO法人があるそうですが、認定NPO法人となるとまだ7法人しかありません。これに認定されると税制面で寄付者、法人に大きなメリットがありますが、それ以上に公益性が高い団体ということでの信用が高まります。だからといって寄付が集まるわけでもなく、これからは寄付集めにも努力していきたいと考えています。


2015年3月29日日曜日

獣害

かじられたブロッコリー
シカの足跡
先週のこと、近所の奥さんで家内と一緒に「エコの環」野菜を作っている人が、「またシカにやられた」と駆け込んで来られました。家内たちは3か所の畑で野菜づくりを行っていますが、その内の2か所は従来から獣によくやられ、とくに人家から10mほど離れたところにある畑Aは、シカ用のネットで四面を囲い、有刺鉄線も張っているのですが、ネギ、明日葉、小松菜、エンドウなど栽培していた野菜を全部やられ、ショックを受けていたところに、今度は人家の間にある畑Bでのことです。出かけてみると白菜、ブロッコリー、ニンニクの葉などがきれいにかじられています。白菜、ブロッコリーはやっと成長して出荷できるばかりのところを、食べごろを見計らっていたシカにうまく横取りされた格好で、じだんだを踏む思いでした。どうも山に面したところから入ってきたようで、そこはトタン板で1.6mほどの防御壁を作っていたのですが、シカは少々の高さは飛び越えてしまうようです。早速、そのトタン壁の上にさらにネットを張るハメになり、ついでに人家側の2面にもネットを張りましたが、畑AといいBといい、まるで動物園のオリの中で野菜づくりをする恰好です。
 獣害といえば、果物は生き延びるのに「獣に食べられたい」とする道を選び、野菜は「食べられまい」とする道を選んだと聞いたことがあります。植物は日照を奪い合って生きているため、果物にとって実が親木の近くに落ちてそこに芽を出すことは、繁殖という点で好ましくありません。そこでできるだけ目立つ色と甘い香りを放って動物を引き寄せ、動物に種ごと食べてもらって、遠く離れたところに糞と一緒に種をまいてもらう道を選んだというのです。そのため種は食べられては困るので、噛むとひどく苦味のするシアン系の毒物を含ませているといいます。一方で野菜は、「シュウ酸」のアクで消化不良を起こさせたり、苦味で虫や草食動物を寄せ付けなかったり、生食すると口の周りがかゆくなったり、のどがいたくなったりして、食べられないよう身を守っているそうです。ネギ、玉ネギ、ニラ、ニンニクは「アイリン」という成分が腐敗臭、刺激臭を発して外敵から身を守り、タケノコは「チロシン」が苦味を発してイノシシを撃退すると云います。ジャガイモの芽には「ソラニン」、豆には「レクチン」という毒があり、野菜を調理する本来の目的は、こうした毒やシュウ酸のアクを消すことにあるそうです。こうしたことを考えると、私たちの「エコの環」野菜はそうしたアク、苦味以上に甘みがあって美味しかったのか、あるいは襲ったシカはアク、苦味が分からないほど飢えていたのか?

南雲吉則;空腹が生き方を教えてくれる、サンマーク出版、2013






2015年3月23日月曜日

溝尻の舟屋

 天橋立の内海、阿蘇海に面する「溝尻の集落」には、伊根ほど知られてはいませんが「舟屋」(船のガレージ)があります。先日、そこを見学するちーたびがありました。溝尻は私が京都北都信用金庫を始め多くの方々の支援を受け、2002~2005年にかけ阿蘇海のへどろから人工ゼオライトを合成する実験を行っていたところであり、また、ちーたびのチラシに載っていた案内人の2人の船長はよく知っている人たちで、ついなつかしく家内と一緒に出掛けてきました。参加者は15名ほどで丹波篠山、西宮から来ておられる人達もいて、「海」には何か人を引き付ける郷愁のようなものがあるのかと感じました。
実験をやっていたころ、舟屋は度々陸側から見ていましたが、海側から船で見るのは今回が初めてで、全部で40戸ほどある舟屋はちょっとした景観でした。ただ、赤さびたトタンや継ぎはぎが目立ったり、傾いでいたり、船のない空き家があったり、案内する側には「人に見せるほどのものではない」といった気おくれもあったようですが、しかしそこには日常の生活臭が漂っていて、遠方から来た人たちには「そこがたまらない魅力」に映ったようです。ある参加者の話しによると、いま日本を訪れる外人観光客には、観光名所を訪ねるより銭湯に行ったり、たこ焼き・お好み焼きを食べ歩き、日本人の日常生活を体験する人が増えているそうです。観光の魅力とは本当はそうしたものなのかも知れません。
 船長によると、彼が中学生のころ(昭和40年ころ?)はクルマエビなどがいっぱい獲れ、それを運ぶのがよいアルバイトになったと云います。阿蘇海はまさに豊饒の海であったわけです。しかしその後の高度成長で私たちの生活は一変し、それが周りの環境に多大な影響を及ぼし、その結果として阿蘇海の環境もすっかり変わってしまったのでしょう。また、ほんの20年ほど前まで中学校や高校へ生徒を運ぶ連絡船もあったと聞くと、阿蘇海はまさに地域の人々の日常生活の中心にあったわけです。とはいえ、いまでも舟屋前あたりの砂地ではアサリやハマグリが獲れ、また護岸近くに仕掛けをしておくとウナギが獲れると云います。当日のかち網漁の実演でも舟屋近くでクロダイが4匹ほど引っ掛かり、昼食にはコノシロのつみれのまぜご飯、アサリのみそ汁、文珠水道で獲ったカキのフライを頂くことができました。こうした阿蘇海の自然の恵みを目の当たりにすると、「豊かさとはなんだろう」と改めて考え直したりしました。
 私たちはNPO法人として「阿蘇海の環境問題」に関わっています。しかし正直いってほとんどの人は関心を示しません。阿蘇海で魚が獲れなくても、地球の裏側からでも安い魚はいっぱい届き、何も困らないからです。チルチルミチルの青い鳥ではありませんが、人は幸せは遠くにあると思いがちです。そしてグローバリゼーションの流れに乗って近くにあるものの価値を忘れがちです。しかし青い鳥(幸せ)は本当はすぐ近くにいるのであり、阿蘇海の環境にもそうした視点が重要だと考えます。今回、ある漁師さんが当日獲った魚を見せてくれました。その中にかつて阿蘇海の名物だった「金樽イワシ」が1匹いました。いまはほとんどいないとのことでしたが、はじめて見たその姿は銀色に輝き脂がのっていて、とてもうれしく感銘を受けました。
金樽イワシ


2015年3月14日土曜日

料理教室

 3月も中旬になろうとする3/10、今季最高ともいわれる寒波がまた日本全土を覆い、北海道・東北地方は今季何回目になるか分からない猛吹雪を、また被るハメになりました。当地も早朝から天気が急変し、私たちの「料理教室」の日と重なったため、朝から参加者の集まりを、また、予定していた堆肥小屋・畑への案内を心配しました。結局は堆肥小屋・畑への案内は断念し、小型の生ごみ処理機「ちびぞう」を急きょ運び込み、会場の公民館で説明することにしましたが、参加者も2名が発熱、天候が理由で急に取りやめになり、私たちも思わぬ寒波の影響を被ることになりました。しかし料理教室は講師の指導よろしく非常に楽しいものになり、参加者6名のうち3名の男性陣からは、「魚のおろし方、野菜の切り方、ごはんバーグの成型など、初めてのことばかりで面白い」といった声も聞け、料理教室はむしろ男性向けに良いのではと感じました。
 今回勉強した「ごはんバーグ」は肉・卵・牛乳を使わず、玉ねぎ・里芋・じゃがいも・にんにく、それと冷ごはん(白米+玄米+雑穀)でハンバーグの食感を出していますが、ミネラル分が豊富で香ばしく、食べやすいと好評でした。一方の「みやづの幸汁」はさつまいも、じゃがいも、大根、玉ねぎ、ねぎを低温から煮立てた中に、スズキ、イカの切り身を放り込んだだけのものですが、野菜の甘みがよく出ているとやはり好評でした。どちらも宮津特有のメニューとして広められたら面白いと考えています。
 交流タイムでは私たちの「エコの環」野菜の販路として、もっと都会に目を向けてはどうかとの意見が出ました。これは「エコの環」の拡大(グローバル化)を意味します。収益性を考えればその方が有利かも知れませんが、しかし少子高齢化が進むなか、「エコの環」を高齢者ビジネスにするだけでなく、その安心・安全な健康野菜を地域の健康づくりにも活かしたい、というのが私たちの思いであり、やはり小さな循環(ローカル化)にこだわっていきたいと考えています。また、アトピーとか食育といった問題も話題になりましたが、こうした問題こそ地域で取り組むべき課題であり、今後はこうした面にも目を向けていきたいと考えています。
 当日の朝、朝日新聞の記者から「料理教室を取材してよいか」と断りの電話がありました。断る理由もないので午前中いっぱい取材をしてもらいましたが、翌日それが丹後・丹波版に掲載されました。

2015年3月5日木曜日

介護難民

 先日のテレビで年金の「マクロ経済スライド」を取り上げていました。厚生労働省がこの4月から発動することを決めたからです。この制度は小泉首相のときの2004年に、「100年安心プラン」として導入されたものです。年金財政の大幅な悪化を避けるため、インフレ時に一定の調整額を年金支給額から差し引いて年金の伸びを抑え、その代り現役世代の所得の50%以上は受け取れるようにしようとしたものでした。しかし日本経済は長くデフレが続いたため、これまで一度も発動されたことがなく、そのため年金の支給額は現役世代収入の62.7%と高止まりしていて、若い世代への負担のしわ寄せと不公平感が問題になっていました。今度の発動では賃金・物価の上昇分に合わせ、本来なら2.3%アップのところを0.9%の上昇に抑えるそうです。
人口構成(2015年)

 いま国会では来年度予算案が審議されていますが、予算総額96.3兆円のうち社会保障費が31.5兆円、国債の償還・利払いが23.4兆円で、両者だけで歳出の6割近くを占め、税収の54.5兆円も両者で使い切ってしまう内容になっています。これから高齢化がますます進むなか、日本の財政は極めて厳しい状況にあることが分かります。
 右図はいま現在(2015年)の日本の人口構成を示しています。いわゆる「団塊世代」とその子供たち「団塊ジュニア世代」のところに、大きなピークがあります。この2つの世代が生産世代(15~64歳)を代表していた1995年頃は、生産年齢人口が8,716万人と史上最高を記録し、介護が問題となる後期高齢者も717万人ほどで、12.2人で1人の後期高齢者の面倒を見ればよかったわけです。しかしピークの一つの団塊世代が生産世代を抜けたいまは、高齢世代の急激な増加と生産年齢人口の急激な減少が同時に起きたため、その比率は実に4.7人に1人となり、団塊世代が後期高齢者となる10年後の2025年には3.3人に1人となって、要介護者・ヘルパーの急増、いわゆる介護の爆発が予想され、生産世代はもちろん、日本全体に非常に大きな負担が生まれてきます。
 四国で最も人口の少ない町、徳島県の上勝町では、「つまもの」といわれる料理に添える葉っぱを高齢者ビジネスにすることに成功し、80歳を超える高齢者が元気に働いているそうです。そして町の老人ホームは入居者が少なく、閉鎖されていると聞きます。高齢者問題を解決するカギはこのように、いかに高齢者に生きがいを持たせるかにかかっています。私たちの「エコの環」も高齢者の生きがいを狙ったものであり、何とか早くお役に立ちたいと考えています。

* 藻谷浩介;デフレの正体、角川oneテーマ21、2011



 




2015年2月28日土曜日

少年事件

 川崎市で中学1年の少年が殺害された事件が、連日テレビ・新聞で報道されています。ほんの13歳の少年がカッターナイフで殺害されたと聞くと、さぞ怖かったであろうとこちらまで身震いする思いです。犯人として遊び仲間の少年3人が逮捕されたようですが、こうした事件が起きると必ず、少年たちを取り巻く環境(学校、家庭、地域)はどうであったか、少年法はいまのままでいいのかといった問題が議論されます。実際、今回の事件で自民党の稲田政調会長は、少年法の見直しを含めた検証が必要と語っています。しかし最近の少年事件をみると、「相手は誰でもよかった」とか「一度人を殺してみたかった」とか、信じられないような犯行の動機が語られます。今回の事件の主犯格の少年にしても普段はおとなしく優しいが、キレると手が付けられないほど狂暴になったと聞くと、単に環境とか少年法で片付く問題ではなく、もっと根本的な別の要因があるように私自身は感じます。
ミネラル不足ではアメリカの少年院で行った食事に関する実験調査から、5つのビタミンと4つのミネラル不足が狂暴性に関係していることに触れました。また、食品汚染では、かつて家庭のしつけの問題と捉えられていた最近の子供たちの落ち着きのない行動が、実はADHD(注意欠如症)という神経性疾患で、やはりビタミン・ミネラルの不足に加え、食品添加物や農薬、その他化学物質の摂取が疑われていることを記しました。最近の野菜は土壌の腐植(有機物)不足からビタミン・ミネラルが不足していると云われますが、そのうえに食品が高度に加工され、「高精白」、「高タンパク」、「高脂肪」、「高カロリー」、「高砂糖」の五高が進み、その結果としてビタミン・ミネラル・食物繊維が決定的に不足し、「現代型栄養失調」に陥っている人が多いと云います。畑には窒素・リン酸・カリの他にミネラルの補給が重要であり、私たちの「エコの環」野菜が栄養価が高くおいしいのは、生ごみからバランスの良いミネラルの補給があるからで、私たちがそれでもって身体と心の健康づくりを目指す所以でもあります。

 鈴木雅子;その食事ではキレる子になる、KAWADE夢新書、2001

2015年2月21日土曜日

料理教室

 京都府との協働事業”ちーたび”を来月の3/10(火)に実施します。今回は「エコの環」野菜を使った料理教室を開く予定です。時期的には野菜の端境期に当たりますが、講師にオーガニックレストラン、ビオラビットのオーナーシェフ対馬則昭氏を招き、そのときにある野菜を使って簡単に作れる、「ごはんバーグ」と「みやづの幸汁」を作りたいと考えています。どちらも昨年11月に行われた環境イベント「アースガーデンみやづ2014」で調理・販売したもので、対馬さんと私たちが考えたオリジナルな健康料理で、結構好評でした。
「ごはんバーグ」はもともと対馬さんが、野菜嫌いなお孫さんのために考えられたものですが、事前の調理・試食会で、ごはんに白米だけでなく玄米、雑穀などを混ぜると香ばしく、ピチピチ感があっておいしく食べられることが分かり、栄養価の高い料理になると考えています。一方の「みやづの幸汁」ですが、南フランスの漁師町で作られていた郷土料理に、雑魚やエビ、カニ、貝類を塩味でごった煮にした「ブイヤベース」という料理があります。フランス料理が「魚のごった煮」なら、こちらは「野菜のごった煮」を作ろうと、有り合わせの野菜をたっぷり入れたところに、皿あるいはどんぶりに取ったとき、魚も一口程度あるように身離れの良い魚を入れ、塩味だけでぐつぐつ煮たものです。アースガーデンみやづ2014のときは「さんきゅう」というフグ科の魚を使い、塩味には対馬さんが作って販売されている「サーディンソース」を使いました。野菜を水から煮立てると、お湯の温度が37~40℃くらいのとき、酵素の働きで野菜のでんぷん質が糖に変化すると云われ、野菜の甘みがすごく出て好評でした。そして野菜と魚に宮津産のものを使うことから、ある女性の発案で「みやづの幸汁」と命名し、販売したのでした。
 ちーたびの実施日時は3/10(火)の9:30~14:00で、宮津市・吉津地区公民館に集まった後、私たちの生ごみ処理法(宮津方式)と畑を見学し、その後に公民館で調理実習と料理の試食会、交流会を持つ予定です。参加費用は1人2,500円で、定員は15名です。参加をお待ちしています。なお、問い合わせ、申し込みはTel & Fax 0772-46-4943か、メール(いずれも松森)でお願いします。
toyomi55@beige.ocn.ne.jp

* 南雲吉則;空腹が生き方を教えてくれる、サンマーク出版、2013

2015年2月12日木曜日

”ピンと活き生き” 宮津ライフ

 私たちは生ごみの循環システム「エコの環」を、高齢者ビジネスに育てたいと頑張っています。日本の高齢者問題は非常に深刻で、2025年にはいわゆる団塊の世代が75歳を超えるようになり、そうなると要介護者・ヘルパーの急増(福祉需要の爆発)が大問題になると予想され、高齢者がよほどしっかり自助努力をして生きていかないと、日本は破たんしかねない状況にあるからです。* こうした考えから宮津市の市民組織「みやづ環の地域づくり推進ネットワーク」が行う、「”ピンと活き生き”宮津ライフ」にも部会長として協力しています。65歳以上の高齢者を対象とするその運動では、
 ①自助・共助で、ピンと元気に長生きする暮らし方
 ②旬の地元野菜を多く食べ、適度な運動による健康的な暮らし方
 ③エネルギーや資源を大切にした、持続可能な「少エネ」、「少資源」の暮らし方
 ④地元を元気に明るくする暮らし方
の4つの暮らし方を提案しています。①は先般閣議決定された来年度予算を見ても分かるように、総額96.3兆円の内、社会保障費(31.5兆円)と国債の償還・利払い(23.4兆円)だけで6割近くを占め、しかもこの2つで税収の54.5兆円を食ってしまいます。今後の高齢者の急増、生産世代の減少を考えると財政は破たんしかねず、私たち高齢者にもかなりの覚悟が求められるからです。②は健康に生きるための食生活の改善と、運動による体力の維持をお願いしています。③は地球温暖化による世界的な異常気象はもはや疑いもなく、エネルギーや資源の「省」ではなく「少」への協力をお願いし、いまごみとして捨てているものの資源化を積極的に進めていきたいと考えています。私たちが活用を進めている「生ごみ」も、燃やせば24円/kgの費用がかかりますが、野菜づくりに利用すれば240円/kgの付加価値が生まれるからです。④は高齢者が現役時代に身に付けた知識・経験・技術は地域の貴重な財産であり、それらを有効に活用して地域を元気にしてもらおうとするものです。そのまま活かすことはできないにしても、いろいろな活動面での応用は可能であり、地域の大きな力になることが期待されます。ただ先日、社会福祉協議会の方と話しをしていると、いろんな催しものに女性は積極的に参加してくれるが、男性はなかなか出てこず、引きこもりがちであるとのことでした。男性にはそれなりのプライドもあり、気持ちが分からないこともないのですが、「エコの環」を例に考えると、プチビジネス(小遣い稼ぎ程度のビジネス)としてなら男性を引っ張り出すことも可能かもしれず、今後いろんなプチビズを作っていきたいと考えています。
 ”ピンと活き生き”宮津ライフでは、以上の4つの暮らし方に対し40項目ほどの行動課目を掲げ、毎月それらが実施できているかを採点し、3か月経ったところで合計点を出し、20点につき1回の抽選を行って、当選者に地元の産品が当たる仕組みにしています。第1回の抽選会は昨年の12月に実施しましたが、残念ながら応募者はわずかに43人でした。私たちの周知の仕方に問題があった訳ですが、いろいろ聞くと20点に達しなかった人も結構いたようです。お陰で応募者には全員賞品が当たり、中には4つほど当てた人もいて応募者には大変喜んでもらいました。第2回目の運動はこの2月からスタートし、5月に抽選会を予定していますが、こうした活動により高齢者がピンと元気になり、積極的に地域活動に参加して生きがいを見出してくれることを願っています。

* 藻谷浩介:デフレの正体、角川ONEテーマ21、2011